サイレントキラー! 『大動脈瘤』とは

 私が当ブログで記事にしている「母親の治療記録」に出てくる『大動脈瘤』。 

命に係わる恐ろしい病気という事を明記してきました。

ここで私が母親の手術までに主治医である大学病院の心臓血管外科の准教授の方や、他の先生から教えていただいた内容を纏めたいと思います。

一般人である私がノートにメモをしてきた内容から理解した内容ですので、出来るだけ専門用語を使用せずに一般の目線で記事にしていきます。あくまで私の家族の手術までに得た知識ですので興味を持った、ご自身またはご家族は大丈夫なのか、と不安を感じられた方は専門機関にご相談して下さいね。


大動脈とは

全身に血液を送る大動脈は体の中で最も太い血管

心臓から上向きに出た後,頭や腕などに血液を送る血管を枝分かれさせながら弓状に左後方へ大きく曲がり,ほぼ背骨の前面に沿って腹部方向に下っている。

・心臓から横隔膜までの大動脈を胸部大動脈

・横隔膜から下の部分を腹部大動脈

どんな病気か

 大動脈瘤は、胸部大動脈もしくは腹部大動脈の径が拡大し、こぶ状になったもの。

 一般的に大動脈瘤は、徐々に径の拡大が進行するために殆ど症状がない場合が多い。とくに、胸部大動脈は胸のなかにあるため胸部大動脈瘤の自覚症状は乏しく、胸部X線写真や超音波検査を正面と側面に対して行う事で径の拡大の有無をチェックする事で、初めて気づくことがまれではない。

 腹部大動脈瘤は、胃潰瘍や胆石症などの消化器疾患を診断するために腹部を触診した際にへそのあたりにどきどきと拍動するこぶを触れることにより発見されることが多いが、この発見も殆どが偶然による。また胸部大動脈と同様に、痛みを伴うことはまれなため見過ごされることが多い。

 このように発見が困難、偶然での発見が多い為、高血圧などで通院している方は定期的なCT検査をお勧めする。X線写真や超音波検査(腹部エコー)では径の拡大の有無はチェック出来るが正確な大動脈の径を測定したり、瘤が拡大する度合いを知るにはCT検査が最適である。

 大動脈瘤が恐ろしいのは、破裂することがあるという点。大動脈瘤が破裂すると大量に出血してしまう為、破裂した動脈を人工血管に取り替えないかぎり助からない

但し、破裂した場合の致死率はかなり高く80~90%とされており、事前に大動脈瘤の有無、状態を把握した上で破裂する前に動脈瘤の部分を人工血管に取り替える事が最善の治療法となる。

 破裂の危険度は、大動脈瘤の径の大きさにより、直径が大きければ大きいほど、破裂の危険度が増す事となる。

正常胸部大動脈の径は約2.5cmとされており、径が拡大して正常径の2倍を超えた5~6cmになると破裂の危険性が高くなる。胸部大動脈瘤の径が6cmを超える場合は破裂を防止する為の手術治療が考えられる。

正常腹部大動脈瘤の場合は、正常な腹部大動脈の径が1.5~2.0cmほどなので、その2倍の径4cmを超えると破裂の危険が高くなる。腹部大動脈瘤の場合は、こぶの径が5cmになれば手術が必要と考えられる。

原因はどのようなものか

 絶対的な原因は不明。

 大動脈瘤は高血圧の人や家族に大動脈瘤の人がいると出来やすいといわれ、家族的、遺伝的傾向が認められている。

 また、大動脈の中には高い圧力(血圧)がかかっている為、動脈硬化などで弱くなった部分があると、こぶが出来やすくなる事から高血圧の人は動脈の拡大が起こりやすい。動脈の径の拡大が認められる人は定期的な健診がでの経過観察が必要であり、破裂防止のためには、高血圧の治療が重要となる。

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症状※現れた時は既に危険な状態

大動脈瘤の多くは破裂しない限り無症状だが、径が大きくなっていくと周囲の組織を圧迫し、

胸部大動脈瘤は 咳、血痰、胸痛、背中の痛みが、

腹部大動脈瘤は 腰痛や腹痛などがみられる。

症状が出ているこの段階は破裂する危険性が高まっている状態で、大動脈瘤が大きくなって破裂すると突然死する危険性がある。

大動脈解離(動脈壁の内膜が裂ける)になることもあります。

※大動脈乖離に関しては別記事にて紹介させていただく予定です。

治療の方法

 大動脈の拡大が軽度であれば手術は行わず、血圧を調べて高血圧が確認されれば血圧を上げないように薬による治療を行う。但し拡大を抑える予防療法であり、一度径が拡大してしまった大動脈瘤を治す薬は現時点では存在していない

 大動脈瘤が大きくなれば手術が必要になる。手術の基本は人工血管による大動脈の置換術。動脈瘤が大きい場合は、全身麻酔による胸部の開胸術、あるいは腹部の開腹術が必要になり、心臓の動きを一旦止めて行う大手術となる。

 最近は、足の付け根からカテーテルという管を大動脈内に挿入して、人工血管を大動脈の内側から固定する方法が実用化されている。この人工血管は「ステントグラフト」と呼ばれて全身麻酔による胸や腹の手術に代わる方法になってきている。

但し「オープン手術」「ステントグラフト治療」のどちらが適切かは患者個々の状態により、現在のところは「オープン手術」が基本。

不安な時は…

 不安な方、特に高血圧と診断された場合はCT検査を受けることをお勧めする。大動脈の正確な径がわかるので、その大きさによってその後の治療方針を決めることになる。

 CT検査で大動脈の径の拡大が確認され本来の径の2倍を超えているようであれば、破裂の危険性が高くなるので、心臓血管外科専門医との慎重な検討が必要。

手術は破裂予防の為の手術なので、手術自体の危険性と破裂の危険性を十分に理解して納得のうえで方針を決める必要がある。

 あくまで一般論ではあるが、検査をしっかりと行って準備されたうえで行われる腹部大動脈瘤の手術の危険性は低いと考えられている。比較してではあるが胸部大動脈瘤の手術の危険性は、腹部大動脈瘤よりは高いとされている。


 高血圧の治療や時間の経過で治癒する事は一切ありません。患者さんの健康状態、他の病気の有無、年齢等の個々の状態から総合的に判断が出来る可能性の高い、十分な経験と実績のある病院と心臓血管外科専門医に相談することをお勧めします。

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