【別冊】ルルナル『朗読の部屋』百八十六話

 【別冊】ルルナル『朗読の部屋』百八十六話 

2018年2月24日

ルルナルの『朗読の部屋』 百八十六話を公開しました。

ラインナップは…

『餓鬼魂』

『防犯カメラに映る女』

『顔を覆う人達』

今回は日常生活をしていく中で、もくしは過去の行動が現代まで関わってしまうお話でした。

普段の生活を送っているだけなのに…


【踊る男性】

つい先日、ショッピングモールに買い物に行った時に体験したお話です。

その時はそんなに怖くなかったのですが…。

金曜の夜、仕事が早く終わった私は帰り道から少し寄り道した場所にある大型ショッピングモールに立ち寄りました。

専門店がたくさんテナントとして入っていて、併設された映画館、駅とも連結している便利な場所で金曜の午後6時ともなると老若男女の様々な客層で賑わっていました。

特に用事があった分けではなかったのですが、専門店のお洒落な洋服やコスメを見て回りました。お給料日前だったので買うのは難しかったのですが、お給料が出たら買ってもいいかな、と思う商品に目星をつけているうちに気が付くと時刻はいつの間にか8時を過ぎようとしていました。

このまま帰ってお夕飯用意するのも面倒だな、と考えた私はお財布には厳しかったですが飲食店街で食事をして帰る事にし、お店のチョイスを始めたのですが…どこも混み合っていて5組前後が待っている状態です。

まあ、かえって用意するよりはいいか。と考えて私はパスタのお店の列に並ぶことにしました。列といっても椅子を何脚か用意してくれしいて、私は最後尾の椅子に運よく座れて渡されたメニューに目を落としました。

経済的な事を考えるとドリンク混みで1,500円で押さえたいなぁ、等と考えているとふいに「気配」を感じました。

見ると私の後に50代後半と思われるサラリーマン風の男性が並んでいました。

普通に考えればそれだけの事なのですが、「気配」として感じたのには理由がありました。

その男性は…踊っていたのです…。

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ショッピングセンターで? なぜ?

リズムに乗って身体をゆすっている、そのレベルであれば分からなくはないのですが、全身を大きく動かして本格的なステップを踏んでいます。

想像してみて下さい。人で賑わうショッピングモールとはいえ50代のスーツを着たサラリーマンが何の音楽もなく(イヤホン等で音楽を聴いてはいなかった)飲食店の順番待ちの列の中で激しいステップを踏んでいるのです。

私はびっくりして手にしていたメニューを取り落としてしまいました。周囲の人達は関わり合いにならないように私の周囲に距離を置いています。この男性の影響でパスタのお店だけでなく、周囲の飲食店で待っていた人達もその場を離れていく人が増え始めていました。

お店の方も困惑していますが、悪い事を明確にしている分けではないので対応に困っている様子です。

男性の視線はずっと私に向けられていました。最初は変質者なのかと身の危険を感じたのですが、男性の表情には明らかに「恐怖」の感情が浮かんでいたのです。

私は急いで順番待ちの椅子を立ってその場を離れました。変質的な意味ではなく、言いようのない不気味さに身の危険を感じたのです。

ショッピングモールでの食事を諦めて食料品街で出来合いの食品を購入して私は急いで駅への連絡通路に向かいました。その途中で飲食店街の真横を通らなければならないのですが…遠目ですがパスタのお店の周囲に警備員らしき人が数人集まっているのと、何かを叫びながら踊っている男性の上半身が見えました。

私は走って駅へと走りました。後ろを向いていた男性がちらりと私を振り向いて見た気がしたのです。とてつもない恐れの表情で。


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